「フィアット通貨」とは、政府や中央銀行がその価値を法的に保証し、金や銀などの裏付け資産を持たない通貨のことです。古来、金本位制や銀本位制などの物理的な資産に価値を連動させる通貨が主流でしたが、20世紀に入ると各国は財政政策や金融政策の柔軟化を目的に、資産の裏付けなしに信用で価値を支えるフィアット通貨を採用しました。主な特徴は、発行主体が政策目標に応じて通貨供給量を調整できる点であり、景気刺激やデフレ抑制といったマクロ経済運営に役立ちます。一方で、過度な発行がインフレを引き起こすリスクや、政治的判断による通貨価値の変動といったデメリットもあります。近年では、ビットコインをはじめとする暗号資産や、米ドルなどのフィアット通貨を担保としたステーブルコイン、さらに中央銀行デジタル通貨（CBDC）といったデジタル化の潮流により、従来の紙幣・硬貨を超えた多様な決済手段との関係性が注目されています。今後の動向にも注目です。